川野屋付近 「う」
「う」つくしい花と安比奈線そしておだんごの話
第一チェックポイントは、和菓子の川野屋さんの隣。美味しそうな焼き団子の香りがただよう地点です。
朝ごはん食べてこなかったから、おなかすいたな。ちょっぴり罪な香りであります。
目の前はあまり広い道ではありませんが思いのほか車の通りは多いようです。道と交差するように走っている線路の両端にはセメントの杭が打たれ、「線路内立入禁止」の看板があります。
けれど、その線路内には葵やマーガレットが植えられていて、ちょっとした”お花の小路”状態。なかなか綺麗です。
さて、第一のチェックポイント通過者はどなたかな~? と待っていると、ご近所の方らしい小父さんがやってきました。
「何してるの」
「はい、安比奈線のウォークのチェックポイントに利用させていただいてます。」
「俺、ここに花を植えているんだよ。気をつけてくれよ!」
「あ・・・・・はい。すみません。気をつけます。」
小父さんは行ってしまいましたが、でも、ここって、「立入禁止」って書いてある、西武鉄道の所有地じゃないですか。勝手に花なんか、植えたらだめでしょ。
なんで、小父さんに私達が叱られるの???
やがてスタート地点を出発した人達が次々とチェックポイント1にやってきます。
皆さん、暑い中のご参加、本当にありがとうございます。
既に顔見知りの方、今日はじめてお会いする方、一人ひとりのつばさ愛が本当に嬉しく、輝いて見えます。どうぞ、安比奈線を楽しんでくださいね。
「お気をつけて!」の言葉に精一杯の感謝を込めて、皆様をお見送り。スタッフにとって、ちょっとくすぐったい、嬉しい瞬間です。
「あんたら、何してるの?」
「あ、はい。安比奈線を歩く企画のチェックポイントになってまして」
「そうかい。先日もやってたけどな。あんたら、西武鉄道の人。」
「いえ、西武鉄道とは別の企画なんです。」
「ふぅん。ここは昔、手漕ぎのトロッコが通っててなぁ。俺の子供の頃の話だけど。」
「ご覧になったことがあるんですか。」
「子供の頃だよ。20歳から60歳くらいまで、俺は仕事してて川越を離れてたから。定年迎えて家を建てる時になって川越に戻ってきたんだ。」
こんなところで、安比奈線の現役時代をご存じの方にお話を伺えるとは!ちょうど、ウォークに参加の方々のほうもピークが去ったようです。もうちょっと小父さんのお話を聞きましょう。
「ここ、入れないように杭してあるだろ?」
「ええ。」
「本当はもっと完全に封鎖する予定だったんだ」
「そうなんですか。」
「でも、ここらへんに住むものが、”生活道路として使っている者もいる。どうしても閉鎖するというのなら、線路や雑草の管理をしっかりしてほしい”と言ったので、西武のほうで折れてこんな風になったんだ」
「そうだったんですか。」
なるほど、さっきの小父さんが「花を植えているんだ」とおっしゃったのには、そんな事情があったのですね。この安比奈線を生活道路として利用しておられる方々が、きちんと管理をしている印に利用範囲にお花を育てていらしたわけですか。
なんだか、心あたたまる、良いお話を聞かせていただきました。お花を育ててらした小父さん、不満そうな顔しちゃって、ごめんなさい。
さて、スタート地点のスタッフからのメール。「登録締め切りより30分経過。これ以上の参加は見込めませんので、スタートを引き払い、チェックポイント1に向かいます。」
私達も最終通過者のお見送りが終わりました。撤収の準備をはじめましょうか。
合流するスタート地点のスタッフと一緒に、我々もゴールを目指します。
あ、そうだ。ゴールで皆と一緒におだんごをいただこう!さっきからお醤油の香りに刺激されっぱなしだったのだもの。通過した皆さんも、きっと同じ思いだったはず。
「焼き団子全部ください。」
「ありがとうございます。」
手早く包んで下さる店員さん。手馴れたものです。紙の手提げに入れて下さり、
「はい、どうぞ。」
お団子を手にお店を出た途端に次のお客様。
「焼き団子ください。」
「たった今、全部売れたので、少しお待ちください。」
わ~~ん!ごめんなさ~~~い。
走って逃げたくなってしまいました。
Posted: 5月 23rd, 2010 under ご報告.